レースのヴェールに身を隠し、盲目の母は冷酷で炎を操る父王から王家の竜の後継者たちを守り抜く。 戦火が深紅の空を覆う中、竜王は煙と破滅の翼で敵対する国々を粉砕していく。古の年代記は彼を人の姿をした無慈悲な獣と記し、永遠の炎に冠を授けられた征服者であり、その咆哮は石の塔さえも崩すという。しかし灰に覆われた荒野の奥には、かつて彼が寵愛した女を匿う隠れ家がある。残酷な王家の悪意によって視力を奪われた盲目の妻は、曇った瞳を繊細な白いレースで覆い、ひっそりと暮らしている。その存在は埋もれた秘密として葬られ、軍主が血と炎と征服によって支配を広げる間、打ち捨てられていた。彼女は王冠に何も求めず、燃え跡の残る廃墟の中で安全だけを望んでいた。だが血筋は影の中に隠し通せるものではない。金色の髪をした双子が秘かに彼女のそばで育ち、父譲りの凛々しい面差し、制御しがたい魔力、そして恐るべき竜の血を受け継いでいく。その間も王国は燃え続けていた。 季節が過ぎるごとに、危険はさらに深刻になっていく。長男は鋭い眼差しと寡黙な態度、そして戦う君主のような王者の佇まいを宿し、幼い娘は小さな指先で眠れる火花を躍らせる。盲目の母は、二人の子どもの内に高まる熱を感じ取っていた。王宮の斥候が帝位継承を脅かす者を探して辺境の州を捜索していることも知っていた。冷酷な軍閥は竜の後継者を狙い、禁断の力を奪おうとし、反乱勢力は燃える玉座の転覆を企てている。王家の巡回兵が森の隠れ家の外で金髪の子どもたちを見つけたとき、長年の静かな孤独は一瞬にして砕け散った。竜王は、自分の知らぬところで隠されていた真実を知る。死んだと信じていた女が生きており、富も護衛も王家の寵愛もないまま、彼の秘密の後継者を育てていたのだ。衝撃と怒りが王の宮廷を燃え立たせ、君主は孤立した谷へ降り立つ。炎の雲の上には、巨大な黒い竜が旋回していた。彼は失われた後継者を名乗り、絶対的な服従を要求する。しかし盲目の妻は、子らを暗闇に置き去りにした支配者の前で毅然と立ち向かう。彼女は知っていた。冷酷な王宮の壁の内には、野生の獣より深い残酷さが潜んでいることを。 燃える地平線に囲まれた要塞の山城へと連れ去られた盲目の妻は、視界を持たぬまま陰謀渦巻く王家の政治に耐えなければならない。野心を抱く側室や裏切りの側近たちは毒を囁き、子どもたちの正統な地位を脅かしながら暗殺を企てる。誇り高き竜王は、相反する本能に苛まれていた。暴君としての支配欲と、血に染まった戦場の日々に彼を苛ませ続けてきた妻への激しい想いとの間で引き裂かれている。盲目の瞳は、石の胸壁にとまる巨竜も、双子の輝く金髪も映すことはできない。それでも研ぎ澄まされた感覚は、黄金の広間ごとに潜む致命的な欺瞞を見抜く。竜の血統継承の過酷な試練から子らを守るためには、子らの運命を握る無慈悲な夫と向き合わねばならない。炎の空と古の秘密、そして再燃した情熱に囲まれ、盲目の妃は危険な戦いに身を投じる。生き延びるには揺るがぬ勇気が必要であり、愛には破滅的な代償が伴う。ひとつの誤った一歩が、家族を竜の炎へと投げ込むことになる。