婚約者と偽りの友人の浮気現場を目撃したお針子が、ドラゴンとの契約結婚を受け入れる、ファンタジー・ドラマ。 帝国の夏至の舞踏会の夜、セラ・ベネットの人生は一変する。婚約者のマイケルと偽りの友人ローラが一緒にいるところを目撃し、描いていた未来が一瞬で崩れ去るのだ。あれから三か月が経った今も、セラはその傷と向き合い続けている。他人のためにドレスを縫いながらも、自分の生活は不安定なままで、もう誰も信じる気にはなれない。 この物語で再出発するとは、セラの立場の誰もが予想しないような取り決めを受け入れることを意味する。ドラゴンとの結婚は、当初は実利的な契約にすぎず、人前で双方が守るべきルールがある。しかし、共に人前に現れるたびに、そして二人きりで言葉を交わすたびに、二人の距離は少しずつ個人的なものへと近づいていく。賭け金が上がるにつれ、セラは自分をどこまで危険にさらす覚悟があるのか、そしてドラゴンが自分の本当の姿をどこまで明かす気があるのかを決めなければならない。 『契約夫はドラゴン』が時間を割く価値がある理由は、ファンタジーの壮大さと生々しい感情のドラマを融合させている点にある。裏切りがロマンスに確かな重みを与えるため、優しい場面も安易にではなく、積み重ねの末に心に響く。強制的な近さが二人の主人公を互いの軌道に留め、小さなしぐさの一つひとつが二人の間のゆっくりとした熱を高めていく。二人が下すすべての選択が契約を試し、取引だけでは足りなくなったとき何が起こるのか、その問いはまだ答えを待っている。